【始解・其ノ壱】  第一章 予兆

 

ルキアが朽木家に養子に入り四十年が過ぎようとしていた冬のおわり。

 

梅のつぼみも膨らみはじめたころ、十一番隊から十二・三番隊の隊舎へと抜ける回廊を六番隊隊長 朽木白哉は通っていた。

 

その周りでは、十二番隊や十三番隊所属と思われる女性隊員たちが白哉をみては黄色い声をあげている。

 

ふと、白哉は遠くから聞こえてくる笑い声を耳にした。

普段ならたいして気にしたりはしないのだが、何故かこのときはめずらしく声の主が気になったのだ。

 

声は十一番隊の隊舎のほうから聞こえていた。

 

そこには十一番隊所属の隊員が3人いた。

 

第三席 斑目一角 と 同じく第五席 綾瀬川弓親 

彼らは十一番隊の中でも特に更木剣八のお気に入りだと有名である。

 

そして…そのふたりの奥に白哉の足を止めた要因であろう男

十一番隊第六席 阿散井恋次がいた。

 

白哉と恋次はルキアが朽木家に養子にいった後も幾度となく顔を合わせる機会があった。

それは、恋次の所属先が五番隊であったことにも関係があったのかもしれない。

六と五の数字がちかいように二つの隊舎の距離は決して遠くはない。

 

しかし、瀞霊廷内は偶然何度も会えるほど狭くもなかった。

まして一方は隊長である、隊長や副隊長などは平生であれば尸魂界中に散らばり任務をこなしている。

そんな環境で部所の違うふたりが出会う確立は異様に高かったのである。

 

恋次が十一番隊に移るまでは……

 

 

 

 

 

 


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